

9月、薬を飲んで、少しずつ体を動かして、いよいよ重症筋無力症との闘いが始まった。この病気は、右肩上がりで病状が良くなる病気では無い。一進一退を繰り返しながら、ゆっくりと回復へ向かって行くのであせってはいけない。
9月前半
調子の良い時は、自分で寝返りをうてたり、ベッドの上で座ったりできるようになった。車椅子や、ポータブルトイレへの移動は一人ではできないが、ゆっくり、でも確実に寝たきりからは脱出だ。食事(流動食)はなかなか思うようにいかない。噛んだり飲み込んだりする力が弱いので、通常なら10分もあれば食べられる量でも、2時間もかかってしまう。まだ朝昼晩の3食を自分で食べるのは無理なので、鼻のチューブからのミルクと併用だ(薬は全て溶かしてチューブから注入)。歯磨きも、調子の良い時はなんとかなるが、悪い時はうがいができない。口を閉じる力が弱いのだ。そんな時は、水が漏れないように両手の指で唇を押さえ込む。

この頃から、病院内のリハビリセンターでのリハビリにも本格的に頑張る。重症筋無力症は、筋肉を動かそうとする物質の伝達を邪魔されて、筋肉に力が入らない病気であって、筋肉自体が悪くなる病気ではない。しかし、これだけ寝たきりが長いと体の衰えは相当なものだ。全身がやせ細ってしまうのはもちろん、それ以外にも関節の動きがおかしくなっていたり、左右のふくらはぎの太さが2センチメートルも違ったり。それを改善するために、リハビリセンターの先生にメニューを組んでもらい、毎日少しずつ体を動かしていった。また、時々は車椅子に乗って病院の裏の公園に散歩に行けるようにもなった。目の力が弱いので(視界が広いと疲れる)サングラスは必需品。寝たきり脱出の記念に、ちょっといいのを買ってやった。
9月19日、食事には1〜2時間かかるが、初めて薬も自分で飲んでみた。錠剤は無理なので粉薬だ。何とか飲み込めた。
9月20日、呼吸器管理以降ずっとさしていた鼻のチューブを抜いた。胃まで届くような長さだった。こんな物が体の中に入っていたのか。食事も、流動食からキザミ食(文字通り、すべてのおかずを細かく刻んだメニュー)にアップした。
根本的な治療薬であるステロイドの他に、一時的な対症療法としての薬(マイテラーゼ)を併用して、調子が良い時、悪い時を繰り返しながらだんだんアベレージは上がってきた。9月も終わりに近づく頃には、食事も1時間以内に食べられる日も多くなった。あせらずに頑張ろう!
| 9月は目に見えて回復が進み、先の見えない長いトンネルにも、出口は絶対あるんだ、と思えるようになりました。付き添っている僕にも、ようやく余裕が出てきました。 |
2003.8 NIKKI
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